【ニューヨーク 2月5日】
本日、喜劇俳優チャーリー・チャップリンが監督・主演を務めた新作映画『モダン・タイムス』が、アメリカ各地で公開された。無声映画の形式を基調としながら、機械化が進む現代社会を痛烈に描いた本作は、公開初日から大きな注目を集めている。
物語は、巨大工場で単純作業に追われる労働者が、流れ作業の速度に翻弄され、ついには精神の均衡を失っていく姿から始まる。歯車に巻き込まれ、機械の一部のように扱われる主人公の姿は、観客に笑いを誘う一方で、機械文明の進展が人間性を圧迫している現実を鮮烈に浮かび上がらせる。
作品中では、街頭での失業者の行進、警官による取り締まり、貧困層の生活なども描かれ、経済不況下の社会不安が背景として色濃く反映されている。チャップリンは台詞に頼らず、身振りや表情、映像の構成によって、近代社会への疑問と風刺を巧みに表現した。
上映を終えた観客からは、「ただの喜劇ではなく、胸に迫るものがある」「笑いながら考えさせられた」といった声が多く聞かれ、批評家の間でも評価は高い。映写技術や音響が進歩する中で、あえて無声の表現を選んだ点についても、作家としての強い意志が感じられるとの見方が出ている。
『モダン・タイムス』は、娯楽作品でありながら、人間と機械の関係を問い直す一本として、今後も長く語られる存在となりそうだ。
— RekisyNews 文化面 【1936年】
