漂流から十年 —— ジョン万次郎、奇跡の帰還

【土佐 2月3日】

漂流の末に異国へ渡っていた ジョン万次郎 が本日、十年ぶりに故国の地を踏んだ。土佐の沿岸に姿を現した万次郎は、捕鯨船に救われて海を渡り、北米で学問と航海術を修めた後、長い年月を経ての帰還となった。異国で身につけた知識と経験は、当代の日本では極めて稀なものとみられている。

帰国にあたり、万次郎は漂流の経緯や海外の事情について詳しく述べたと伝えられる。とりわけ、蒸気船の運用、航海測量の方法、学校での教育制度などは、外の世界を知る生きた証言として関心を集めた。一方で、海外渡航が厳しく制限される中、身分や行動の扱いを巡っては慎重な対応が求められている。

土佐藩内では、万次郎の知見を今後どのように活かすかが議論となっている。異国語に通じ、実地の航海を経験した人物の帰還は、海防や通商を考える上で重要な示唆を与えるとの見方も強い。万次郎自身は静かに郷里での生活再開を望んでいるというが、その存在は既に多くの注目を集めている。

本日の帰国は、閉ざされた海の向こうを知る者が再び国内へ戻った出来事として、各地に波紋を広げそうだ。今後の処遇と動向が注視される。

— RekisyNews 社会面 【1851年】

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