【パリ 2月2日】
本日、アイルランド出身の作家ジェイムズ・ジョイスの長編小説「ユリシーズ」が刊行された。古代叙事詩『オデュッセイア』を下敷きに、アイルランドの都市ダブリンで過ごされる一日の出来事を描いた本作は、従来の物語形式とは大きく異なる手法を採っている。
物語は1904年6月16日のダブリンを舞台とし、広告員レオポルド・ブルームらの行動と内面を追う構成で進む。章ごとに文体や表現技法を変え、独白や断片的記述、文体模写などが交錯するため、読者に高い集中を求める内容となっている。一方で、都市生活の細部や人間の思考過程を精密に描き出そうとする意図が明確にうかがえる。
本作は刊行以前から一部で掲載制限を受け、内容を巡って議論を呼んできた。表現の自由を巡る問題としても注目されており、今回の書籍としての刊行は文学界のみならず出版界全体に波紋を広げている。
刊行当日から評価は分かれ、難解さを指摘する声がある一方、近代文学の方法そのものを更新する試みとして高く評価する意見も出ている。本作が今後の文学表現にどのような影響を及ぼすか、関心が集まっている。
— RekisyNews 文化面 【1922年】
