【東京 1月31日】
本日、日本橋の中心に店を構えてきた東急百貨店日本橋店が閉店した。江戸初期に呉服店として創業した白木屋を前身とし、商いの形を変えながら336年にわたり日本橋の街と歩みを共にしてきた老舗が、その長い歴史に幕を下ろした。
店内では最終日を惜しむ来店客が詰めかけ、売り場ごとに別れを告げる姿が見られた。高齢の来店者は「若い頃から特別な買い物はここだった」と語り、家族連れは記念にと外観を写真に収めていた。閉店時刻が近づくと、正面玄関前には人だかりができ、静かな拍手が自然に広がった。
白木屋は江戸時代の商人文化を背景に発展し、近代以降は百貨店として都市生活を支えてきた。戦災や震災を乗り越えながら営業を続け、時代ごとの消費文化を映す存在でもあった。しかし近年は周辺の商業環境の変化や経営判断から、閉店が決断された。
関係者は「日本橋の記憶を支えてきた店としての役割は終えるが、その精神は街に残る」と述べ、感謝の言葉を繰り返した。閉店後の建物の活用については未定とされるが、日本橋という商都の歴史を語る象徴的存在が姿を消した一日として、多くの人々の記憶に刻まれることになりそうだ。
— RekisyNews 社会面 【1999年】
