【バルト海沖 1月30日】
本日、東プロイセン方面からの避難民や傷病兵を乗せて航行していたドイツの大型客船「ヴィルヘルム・グストロフ」が、バルト海上でソ連海軍の潜水艦による攻撃を受け、沈没した。船内には厳冬の中で故郷を離れた市民や、前線から後送される負傷兵が多数乗船していたとされ、確認されているだけで9,343人が死亡した模様である。
同船は当時、東方から西方へ向かう避難輸送の一環として運航されており、港湾や鉄道が混乱する中、数少ない脱出手段として人々が殺到していた。出航時点で定員を大きく上回る乗船者があったとの証言もあり、甲板や通路にまで人があふれていたという。夜間、氷点下の荒海で被雷した船は急速に傾き、十分な救命活動が行えないまま暗闇の海に沈んだ。
現場付近では、救助にあたった艦艇や漁船が生存者の捜索を続けたが、冷たい海水と悪天候が行く手を阻んだ。救い出された者の一人は「叫び声と氷のような海が忘れられない」と語り、惨状を伝えている。港町には沈没の報が伝わると同時に、家族の安否を案じる人々が詰めかけ、深い悲嘆に包まれた。
この沈没は、戦時下における避難輸送の過酷さと民間人の犠牲の大きさを改めて浮き彫りにした出来事として、各地に衝撃を与えている。
— RekisyNews 社会面 【1945年】
アイキャッチ画像 Bundesarchiv, Bild 183-H27992 / Sönnke, Hans / CC-BY-SA 3.0, CC BY-SA 3.0 de, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=5434070による
