【マンハイム 1月29日】
ドイツの技術者 カール・ベンツ はこの日、自らが開発した三輪式ガソリン自動車「ベンツ・パテント・モーターカー」に関する特許を取得した。内燃機関を動力とする自走式車両が公式に特許として認められたのは世界で初めてとされ、輸送と産業の在り方を大きく変える出来事として注目を集めている。
この車両は、軽量な車体に単気筒のガソリンエンジンを搭載し、人力や馬力に頼らず自ら走行する点に最大の特徴がある。これまでの蒸気機関車や馬車とは異なり、個人が自由に操作できる小型の自動走行機械として構想されたもので、都市部だけでなく地方での利用も視野に入れられている。
関係者によれば、試験走行では安定した前進が確認され、操縦性にも改良の余地があるものの、実用化への可能性は十分と見られている。特許取得により、今後は改良型の開発や量産化への道が開かれる見通しだ。
馬車が交通の主役である現代において、「エンジンが人を運ぶ」という発想そのものが常識を覆す挑戦であり、この発明が広く普及すれば、移動手段のみならず産業構造や都市の姿にも変化をもたらすと予想される。ベンツの名は、この新しい乗り物とともに後世に刻まれることになりそうだ。
— RekisyNews 科学面 【1886年】
