【名古屋・中日球場 8月21日】
国鉄スワローズのエース金田正一が本日、ダブルヘッダー第2試合の中日戦で日本プロ野球史上4人目となる完全試合を達成した。27人で打ち取り10奪三振、走者を一人も許さぬ快投で、試合は1―0で国鉄が勝利した。舞台は名古屋の中日球場。金田は一投ごとに球威を増し、外角高めの速球と鋭い曲がりで打者を翻弄した。
相手先発は名右腕・杉下茂。両軍の得点はわずかにとどまり、スコアボードにはゼロが並ぶ展開が長く続いた。力投同士の投げ合いの末、国鉄が挙げた貴重な1点を金田が守り切った格好だ。
九回一死では、代打のハーフスイング判定をめぐる中日の猛抗議で試合が約40分中断。騒然たる雰囲気の中でも金田は動じず、再開後は残る2打者をいずれも3球三振に仕留めて試合を締めた。球場には大歓声が渦巻き、相手ファンからも拍手が起こった。
左腕による完全試合は日本プロ野球で史上唯一。偉業の達成で球史に名を刻むと同時に、金田はこの年シーズンのタイトル争いでも抜きん出る勢いを示している。大記録の余韻冷めやらぬ中、リーグ戦はなお続く。次回登板での出来にも注目が集まる。
— RekisyNews スポーツ面 【1957年】