【東京・上野公園 8月21日】
本日、上野公園にて第1回内国勧業博覧会が開幕した。会場には農産・水産・工芸・機械など各部門の陳列館が建ち並び、全国から選ばれた製品や試作品が所狭しと並ぶ。朝から入場門には長い列ができ、家族連れや商人、職工らで賑わった。
機械館では動力機械や紡績器を実演し、蒸気の唸りと歯車の回転に人だかりができる。工芸部では漆や染織、金工に新意匠が見られ、海外出品との比較に熱心な眼差しが注がれた。農産部では改良種苗や肥料の展示が人気を集め、講習所では栽培技術の解説が行われている。
官側は「国内の産業振興と交易拡大を図る」と意義を強調。各地の企業・職工にとっては販路開拓の好機であり、海外商館の視察も目立つ。教育面では学校団体の見学を受け入れ、若い世代に新しい技術や製作法を示す狙いだ。
会場周辺には臨時の茶店や写真館が並び、記念絵葉書が飛ぶように売れている。交通の便をよくするため、乗合馬車の増便も実施された。
国の産業を“見せる”ことで、作る力と売る力をともに高める催しは、今日が第一歩。会期中の受注や技術交流の行方に期待が集まっている。
— RekisyNews 経済・産業面 【1877年】