【和歌山 1月23日】
和歌山県下で電力事業を展開していた和歌山水力電気は23日、県庁前から和歌浦口までの軌道線を正式に開業した。これは、同社が進めてきた電力供給と都市交通を結びつける事業の一環で、和歌山市街と景勝地・和歌浦を結ぶ新たな交通手段として注目を集めている。
開業した区間は、県庁や官庁街の集まる中心部から、古くより名勝として知られる和歌浦方面へ至る路線で、沿線には住宅地や商業地も多い。これにより、通勤・通学の利便性が向上するだけでなく、和歌浦への観光客輸送の円滑化も期待されている。開業初日から、沿線住民や見物客が試乗に訪れ、電気軌道による静かで安定した走行に関心を寄せた。
和歌山水力電気は、水力発電による電力供給を基盤とし、その電力を活用した軌道経営を進めてきた企業である。今回の開業は、地方都市における近代的交通網整備の象徴ともいえるもので、電力事業と公共交通が一体となった新しい都市インフラの姿を示した。
この軌道線は、後に経営母体の変遷を経て南海電気鉄道の和歌山軌道線へと発展していくことになるが、その起点となる出来事として、きょうの開業は和歌山の交通史に重要な一頁を刻んだ。
— RekisyNews 地方・交通面 【1909年】
