【種子島 1月23日】
宇宙開発事業団は本日、日本初の実用放送衛星「ゆり2号a」の打ち上げを実施し、所定の軌道への投入に成功した。打ち上げは鹿児島県・種子島宇宙センターから行われ、国産技術による放送衛星が実用段階に入ったことを内外に示した。
ゆり2号aは、テレビ放送の安定的な中継を目的とした静止軌道衛星で、全国規模で均質な放送を行う基盤となることが期待されている。これまで日本の衛星放送は実験段階にとどまっていたが、今回の成功により、宇宙を利用した本格的な放送インフラの構築が現実のものとなった。
宇宙開発事業団関係者は、「通信・放送分野における自主技術の確立は重要な節目であり、今後の実用化と安定運用が課題」と述べ、運用試験を慎重に進める方針を示した。放送関係者の間では、山間部や離島を含めた情報格差の是正につながるとの期待も高まっている。
一方で、衛星の長期運用や地上設備の整備、受信機の普及といった課題も残されている。とはいえ、国産放送衛星の成功は、日本の宇宙利用が研究開発の段階から社会実装へ移行しつつあることを象徴する出来事といえる。
— RekisyNews 科学面 【1984年】
