【ロサンゼルス 1月22日】
この日行われた米国最大級のスポーツ行事、スーパーボウルXVIIIのテレビ中継中、異彩を放つコマーシャル映像が全米に放送された。映像作品を手がけたのは映画監督リドリー・スコット。内容は、全体主義的な世界観を背景に、一人の女性が巨大なスクリーンを打ち砕くという象徴的な構図で、新型パーソナルコンピュータ「Macintosh 128K」の登場を予告するものだった。
このCMは、ジョージ・オーウェルの小説『1984年』を強く想起させる演出を用い、従来のコンピュータが象徴してきた管理と支配のイメージからの解放を鮮烈に打ち出した。製品の具体的な仕様説明をほとんど行わず、思想的メッセージを前面に押し出した点は、従来の広告手法とは一線を画している。
関係者によれば、この映像は全国放送としては一度きりの公開であったが、その影響は絶大で、放送直後から大きな話題を呼んだ。広告そのものが文化的事件として語られるという現象は、当時としては異例である。新製品であるMacintosh 128Kは、このCM放送の2日後に正式発売される予定で、直感的な操作性を特徴とする新しい計算機像が示されている。
スーパーボウルという国民的行事の舞台で流されたこのCMは、単なる製品告知にとどまらず、情報機器と個人の関係性を問い直す象徴的出来事として記憶されることになりそうだ。
— RekisyNews 科学面 【1984年】
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