【ワシントン 1月22日】
音声記録と再生の事業化を目的とする新会社「コロムビア・フォノグラフ」がこの日、創業した。蓄音機の発明以降、音を記録し販売する試みは各地で進められてきたが、同社は録音媒体そのものを商品として広く流通させることを事業の柱に据え、注目を集めている。
同社は、円筒型の音声記録媒体を用いた録音・再生技術を基盤とし、音楽や朗読、演説などを家庭で楽しめる娯楽として提供する構想を掲げる。これまで音楽は劇場や演奏会場で体験するものが中心であったが、家庭内で同じ演奏を繰り返し聴けるという点は、文化の享受のあり方を大きく変える可能性を秘めている。
関係者によれば、同社は今後、著名な演奏家や楽団の音源を積極的に収録し、都市部を中心に販売網を拡大する計画だという。音の記録を「一時の出来事」から「保存される文化」へと転換する試みとして、技術者や文化人の間でも関心が高まっている。
音声記録技術は、娯楽にとどまらず、教育や記録の分野への応用も期待されている。コロムビア・フォノグラフの創業は、後世に音を残すという新しい産業の出発点として、今後の発展が注視される。
— RekisyNews 文化面 【1889年】
