都心に三色灯の自動信号、運用開始 銀座・京橋など34地点

 【東京 8月20日】

本日、警視庁は都心主要交差点のうち銀座尾張町、京橋をはじめ計34か所に、日本で初めてとなる三色灯の自動式交通信号機を設置し、運用を開始した。午前の試験点灯に続き正午前から本格運転に移ると、交差点には人だかりができ、色の切替に合わせて車両が整然と発進・停止する光景に拍手が起こった。

新信号は赤・黄・青の三灯が一定の間隔で自動的に点滅・点灯を切替える仕組みで、従来の警官による手信号に比べ、車両と歩行者の動きを明確に整理できるのが特長だ。歩行者は青、車両は赤で停止という分かりやすい約束事が徹底されれば、交差点での混乱と事故の減少が期待される。

背景には、自動車・乗合バスの急増で渋滞と接触事故が相次いだ事情がある。欧米の大都市では既に三色信号が普及しており、東京も近代的交通整理へ踏み出した格好だ。商店街からは「通りの流れが滑らかになった」と歓迎の声が上がる一方、「色の意味に不慣れな運転手や歩行者への周知が肝要」との指摘もある。

当面、各地点には監視員が配置され、異常時は手動に切替える。標識の設置や停止線の明示も順次進められ、違反取締りと啓発を並行して実施する方針だ。バス会社は運転士講習を追加し、タクシー業界も社内規定の見直しに着手した。

銀座通りを往来する市民は「灯の色が街の鼓動のようだ」と語る。今日の34基を皮切りに、神田、日本橋、上野方面への拡充計画も検討されており、東京の交通風景は大きく変わろうとしている。

— RekisyNews 経済・交通面 【1930年】

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