【ローマ 1月19日】
イタリア・ローマのアポロ劇場において、本日、作曲家 ジュゼッペ・ヴェルディ による新作オペラ イル・トロヴァトーレ が初演された。激しい愛と復讐、そして出生の秘密に翻弄される人々の運命を描いたこの作品は、初演から観客の強い関心を集め、劇場は熱気に包まれた。
物語は中世スペインを舞台に、貴族マンリーコとルーナ伯爵という二人の男が、同じ女性レオノーラをめぐって対立する構図を軸に展開する。しかし、その背後には、ジプシーの女アズチェーナが抱える過去の悲劇と、兄弟でありながら敵として刃を交えるという宿命が隠されている。復讐の炎に囚われた人間の姿が、愛の純粋さと残酷さを際立たせる構成となっている。
音楽面では、情熱的で覚えやすい旋律と、力強い合唱が印象的である。特に、兵士たちが歌う合唱や、アズチェーナの呪詛めいた独唱は聴衆の耳を強く捉え、劇的緊張感を一層高めた。ヴェルディ特有の明快な旋律美と劇的効果が随所に発揮され、舞台と音楽が密接に結びついた完成度の高い上演となった。
この新作は、すでに発表されている『リゴレット』と並び、作曲家の円熟期を象徴する一作と評価されつつある。初演を終えた今、愛と憎しみが交錯する壮絶な悲劇は、ローマのみならず各地の劇場で上演を望む声を呼び起こすことになりそうだ。
— RekisyNews 文化面 【1853年】
