条約機構軍、チェコスロバキアへ侵攻 装甲部隊が首都へ進入

【プラハ 8月20日】

今夜、周辺諸国の部隊から成るワルシャワ条約機構軍が国境各所から一斉に進入し、兵員は約20万、戦車・装甲車は約5,000両に達した。空挺部隊が主要飛行場を確保し、夜半には首都プラハの要所に装甲車列が姿を現した。政府庁舎、放送局、通信施設は厳重な警備下に置かれ、市内の交通はところどころで遮断されている。

背景には、検閲の緩和や経済運営の見直しなど、国内で進められてきた一連の改革がある。条約機構側は「社会主義陣営の秩序維持」を名目に行動を正当化する一方、現地政府は主権の侵害として強く抗議している。政権要人の動静は流動的で、交渉の行方は不透明だ。

市内では市民が通りに集まり、非武装のまま手を振って車列に抗議、標識を回して進路を惑わせるなどの抵抗も見られる。銃声の報は限定的だが、緊張は高く、負傷者の搬送が確認された地区もある。大学や劇場は急ぎ休館を決め、夜間外出を控える呼びかけが広がった。

西側諸国は相次いで懸念を表明し、国際機関での協議を求める動きが加速。周辺の国境地帯では軍の警戒が強まり、航空路・鉄道の乱れが拡大している。プラハの夜を覆う履帯の轟音は、地域情勢の急変を象徴している。

この介入が国内改革の後退を迫るのか、それとも政治妥協に至るのかは見通せない。街路に残るタイヤ痕とバリケードの木片が、歴史の岐路に立つ一夜を物語っている。

— RekisyNews 国際・戦況面 【1968年】

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