本牧亭、幕を下ろす――講談文化の灯、上野で消える

【東京 1月10日】

東京・上野にあった本牧亭が本日、閉場した。本牧亭は日本で唯一の講談定席として知られ、明治以来の話芸を現代に伝える拠点として長年親しまれてきた。戦後の混乱期を経ても再建され、講談師たちの修業と発表の場として、また庶民が語りの妙に触れる貴重な場として機能してきたが、近年は観客動員の低迷や施設維持の負担が重くのしかかっていた。

最終日となったこの日、場内には往年の常連や若手の芸人、文化関係者らが集い、名調子の語りに惜別の拍手が送られた。高座では、歴史物や世話物が相次いで披露され、観客は一語一句に耳を傾け、静かな感動に包まれたという。

関係者は「定席の灯が消えるのは痛恨だが、講談そのものが終わるわけではない」と語り、今後は寄席やイベント、学校公演など多様な場での継承に力を注ぐ意向を示した。本牧亭の閉場は、講談界にとって一つの時代の終わりを告げる出来事となった。

— RekisyNews 文化面 【1990年】

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