ディエップ沿岸に連合軍上陸 独軍要塞化海岸で激戦、撤収命令も

 【ディエップ 8月19日】

本日未明、独軍占領下の港町ディエップ一帯で、連合軍部隊が一斉に上陸作戦を敢行した。主力はカナダ軍を中心とする歩兵で、英軍コマンドも側面から砲台制圧を試みたが、海岸線はコンクリート障壁と機関銃座で固められており、上陸直後から激しい銃砲火に晒された。

波打ち際の玉石混じりの浜は進撃を阻み、戦車と歩兵の連携が断たれる場面が続出。崖上からの交差射撃により、上陸艇の損害も拡大した。一部隊は市街北側へ食い込み港湾施設に迫ったものの、反撃は強力で、爆薬班が設置を終える前に後退を余儀なくされた。

正午前後、通信途絶と弾薬欠乏が重なり、海上の支援艦艇にも砲撃が集中。司令部は段階的撤収を命じたが、浜は依然として敵砲火の射界にあり、退避は混乱を極めた。負傷者の搬出と煙幕展開が続く中、捕虜となった兵も少なくない模様だ。

上空では早朝から英本土発の航空隊が護衛・制圧に出動し、独軍戦闘機と大規模な空中戦を展開。市街地上空には白煙が棚引き、爆発音が絶え間なく響いた。沖合では救難活動が続く一方、座礁した上陸艇の炎が浜を赤く染めている。

連合軍筋は「限定目標の強襲と情報収集」を作戦目的と説明。独軍側は「敵を撃退した」と戦果を誇る声明を出した。市民は地下室や教会に避難し、鐘の音が警報に代わって街に響く。両軍の損害は現在集計中で、正確な数字は明らかになっていない。

短時間の電撃上陸は、占領下港湾に対する正面強襲の困難さを浮き彫りにした。沿岸の砲煙はなお収まらず、海と空の攻防は夕刻まで続く見込みである。

— RekisyNews 国際・戦況面 【1942年】

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