イゾンツォで大攻勢開始 伊軍、河岸一帯に猛砲撃

 【イゾンツォ前線 8月19日】

本日未明、イタリア軍はイゾンツォ川沿いの広い戦線で大規模攻勢に踏み切った。夜明けとともに長時間の砲撃が開始され、敵陣前面に濃い煙幕が敷かれると、突撃隊と工兵が前進。河岸の浅瀬や仮設舟橋から渡河を試み、各所で白兵戦が生じている。

主攻はゴリツィア東方の高地帯と海側へ伸びる台地の稜線に向けられ、重砲・迫撃砲が連続射で敵の鉄条網とコンクリート壕を砕いた。観測気球と飛行機が射撃を修正し、川向こうの集積地や道路にも砲弾が降った。前線将校は「開口部が見え始めた」と語る一方、突破は局地的にとどまるとの見方もある。

これに対し、対岸の軍は高地に据えた砲と機関銃で激しく応射。谷底の渡河点は交差射撃を浴び、渡り切れぬ部隊も出た。要塞化された稜線からの反撃は執拗で、前進した中隊が孤立する場面も報じられている。

午後に入り、伊軍は塹壕線の一部で陣地を拡げ、夜間に備えて山砲と弾薬を前送。工兵は新たな舟橋の固定を急ぎ、衛生隊は川沿いの収容所を拡張した。前線は土煙と硝煙に覆われ、砲声は途切れる気配がない。

後背地では軍用列車が絶え間なく資材と水を運び、市内の病院は負傷兵で溢れ始めた。沿線の住民は避難を強いられ、駅前には荷車が列をなし、窓越しに前線の方角を見つめている。損害の全容は未明の時点で不明だ。

高地の確保に成功すれば、沿岸路の突破と更なる前進が視野に入る。しかし、急峻な地形と渇水、激しい反撃は容易ならぬ壁である。攻防は夜を徹して続く見込みで、戦線の均衡がどちらに傾くか、緊張が高まっている。

— RekisyNews 国際・戦況面 【1917年】

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