鉄鋼王カーネギー氏、巨額の私財を投じ財団設立──「富める者は社会に報いる義務がある」

アンドリュー・カーネギー

【ニューヨーク 1月3日】

「鉄鋼王」として世界最大の富を築き上げたアンドリュー・カーネギー氏(65)が本日、自身の名を冠した「カーネギー財団」を正式に設立したことを発表した。これは個人の慈善活動としては歴史上類を見ない規模であり、全米の教育・科学・平和の振興に大きな変革をもたらすと見られている。

マンハッタンにあるカーネギー氏の邸宅前には、早朝から多くの報道陣が詰めかけた。厳しい冬の寒さの中、現れたカーネギー氏は、穏やかながらも確固たる信念を込めた口調で、「富を抱いたまま死ぬのは不名誉である」という自持の哲学を改めて強調した。

今回の財団設立にあたって投じられた資材は、数千万ドルに及ぶと推測されている。カーネギー氏はすでに、米国内や自身の故郷であるスコットランドにおいて、数多くの公共図書館の建設を支援してきたが、財団の設立により、今後はより組織的かつ永続的な社会貢献が可能となる。

財団の主な活動目的は、公共図書館の普及、大学教育の質の向上、そして国際的な平和維持のための研究支援など多岐にわたる。特に、誰でも等しく知識を得られる場所としての図書館建設には強い情熱を注いでおり、「教育こそが貧困から脱却し、民主主義を支える根幹である」と説いている。

経済界の一部からは、これほどの巨額を社会に還元することへの驚きの声が上がっているが、カーネギー氏は「企業家として得た富は、社会から預かっている公的な信託財産である」と答え、慈善こそが人生の後半における最も重要な事業であると明言した。

一人の実業家が築いた富が、今後どのような形で世界の知的発展に寄与していくのか。この歴史的財団の歩みに、社会全体の注目が集まっている。

— RekisyNews 社会面 【1901年】

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