【フランクフルト 8月18日】
ドイツ西部の商都フランクフルトに本日、大規模な鉄道駅「フランクフルト中央駅」が開業した。広大な敷地に建設された駅舎は堂々たる石造の正面を備え、鉄骨とガラスを用いた巨大なアーチ屋根が特徴で、ヨーロッパでも有数の規模を誇る鉄道施設となった。
同駅は複数の鉄道路線を集約する形で設けられ、従来の3駅を統合する計画の下に建設が進められてきた。19世紀後半、急速に発展を遂げる都市フランクフルトにおいて、鉄道網の一元化と輸送効率の向上は長年の課題であり、本日の開業は市民と経済界から熱烈に歓迎されている。
開業式典には鉄道関係者や市の要人が多数参列し、式典後には新駅を発着する記念列車が運行された。見物に集まった市民の一人は「この駅こそ未来の玄関口だ」と語り、盛んな拍手が湧き起こった。広い駅前広場には馬車や荷車がひしめき、商人たちは早くも新しい物流の可能性に目を輝かせている。
駅舎の設計は近代的な機能性と荘厳な意匠を兼ね備えており、広大なホームには10を超える線路が並ぶ。これにより、ベルリン、ハンブルク、ミュンヘンといった主要都市はもとより、パリやウィーン方面へも直接接続が可能となった。中央ヨーロッパの交通網において、フランクフルトが要衝としての役割を強めるのは確実とみられる。
商業都市フランクフルトは金融と交易の拠点として知られるが、鉄道の結節点としての地位を加えることで、国際都市への歩みをさらに加速させることになるだろう。新たに誕生した中央駅は、単なる交通施設にとどまらず、都市の未来を象徴する建造物として歴史に刻まれることとなった。
— RekisyNews 経済・都市面 【1888年】