【東京 8月18日】
文壇に衝撃の知らせが広がった。本日、作家の谷崎潤一郎氏と妻・千代子夫人、そして詩人の佐藤春夫氏の三名連名による声明が発表され、谷崎氏と千代子夫人の離婚、さらに千代子夫人と佐藤氏の再婚が公表された。文学界を代表する両氏が私生活においても注目を集める存在であるだけに、この異例の発表は「細君譲渡」として大きな話題を呼んでいる。
声明では、離婚と再婚が互いの合意に基づき円満に取り決められたことが強調されている。谷崎氏は従来より友人佐藤氏と親交が深く、かねてより千代子夫人を交えた交流があったという。谷崎氏自身も「互いの幸福を願う決断である」と述べ、家庭生活の円滑さを保つための選択であると説明した。
千代子夫人は「今後は佐藤と共に歩むことを望む」とコメントを寄せ、佐藤氏も「この関係は友情と信頼の上に築かれたもの」と語った。発表に際しては三人の署名が添えられ、従来の婚姻解消とは異なる公然たる手続きとして受け止められている。
一方、世間では驚きと戸惑いの声が渦巻いている。ある出版関係者は「文学者の生活は常に時代の注目を集める。今回の件は芸術的自由と私生活の境界を問い直すものとなるだろう」と語った。新聞各紙も続々と号外を出し、街角では人々が集まり記事を読み交わす姿が見られた。
近代文学の旗手として名高い谷崎氏と、詩壇を代表する佐藤氏が、私生活においてもこのような異例の発表を行ったことは、今後も文壇内外で議論を呼ぶことは必至だ。文学史においても一つの特異な事件として記録されることになろう。
— RekisyNews 文化・社会面 【1930年】