【アヴィニョン 12月30日】
本日、枢機卿団の選挙を経て、ピエール・ロジェ・ド・ボーフォール枢機卿が新たに教皇に選出され、名をグレゴリウス11世とした。先代ウルバヌス5世の崩御を受け、枢機卿ら十八名は昨日より当地の教皇宮殿(パレ・デ・パップ)に籠り審議を重ね、今朝、満場の同意で新教皇を定めたという。広場では鐘が鳴り、衛兵と聖職者が整列する中、群衆が祈りを捧げた。宮殿内では就任の式が厳かに進められ、使節や修道会関係者も列に加わった。市街では巡礼や商人が足を止め、選挙の知らせを口々に伝え合った。宿屋の前では「新教皇は若い」「穏健だ」との噂が飛び交い、治安当局は混雑を警戒して巡回を強めた。
教会は内外に難題を抱える。イタリアの教皇領をめぐる不安、諸侯との関係、財政と訴訟の滞り、聖職者の規律の回復など、課題は山積だ。新教皇は就任にあたり、教会の一致と秩序の回復を掲げ、まずは教皇庁の行政を引き締め、各地の報告を精査する方針と伝えられる。関係者は、争いの絶えぬ諸都市への仲裁や、司教任命の遅延解消が急務だと語る。また、諸国の使節を通じて和平の意向を示し、対立の鎮静を図る見通しだ。
教皇庁は近年、当地に置かれたままで、ローマの混乱を案ずる声も絶えない。信徒の間には「教会の威信をいかに保つか」との議論が広がり、諸勢力の対立を和らげる手立てが求められている。新教皇が掲げた平和の回復への誓いが実を結ぶか、各国の関心は早くも次の布告と人事に向けられている。教会が再び落ち着きを取り戻すには、初動の判断が試金石となろう。
— RekisyNews 宗教面 【1370年】
