【東京・銀座 12月29日】
東京・銀座で長年にわたり音楽文化の拠点として親しまれてきたシャンソン喫茶の老舗、銀巴里が本日、営業を終えた。開店以来、多くの歌い手や文化人が集い、夜ごと歌声が響いた店内は、最後の客を見送り静かに幕を下ろした。
同店は、戦後の混乱期を経て誕生し、銀座の街にシャンソン文化を根付かせてきた存在である。舞台と客席が近い空間で、生の歌声とことばが直接交わる場として支持を集め、無名の若手から円熟の歌い手までが同じ舞台に立ってきた。常連客の中には、仕事帰りに立ち寄り一曲に耳を傾けることを日課とする者も多かった。
しかし近年、地価の高騰や経営環境の変化により、長年続いた営業の継続は困難となっていた。関係者は「時代の流れの中での決断」と語り、最終日の店内では別れを惜しむ拍手と花束が相次いだ。カウンター越しに交わされる言葉一つ一つが、店の歩みを物語っていた。
閉店により、銀座から一つの文化的風景が姿を消す。華やかな街の片隅で育まれてきた歌と人のつながりは、記憶として受け継がれていくことになりそうだ。
— RekisyNews 文化面 【1990年】
