【東京 12月25日】
国内時計メーカーの セイコー はこの日、世界で初めてクォーツ式腕時計「アストロン」を発表した。水晶振動子を用いて時を刻む新方式は、従来の機械式時計とは根本的に異なる仕組みで、圧倒的な高精度と安定性を実現した点が大きな特徴である。
アストロンは、電池で駆動し、水晶の一定した振動を基準に時間を測定するため、日差が秒単位に抑えられるとされる。これまで熟練の職人技に支えられてきた機械式時計では考え難い性能であり、関係者の間では「時計の概念が変わる」との声が上がっている。
一方で、この技術革新は時計産業全体に大きな波紋を広げた。特に機械式時計を主力としてきた欧州メーカーにとっては、競争環境の激変を意味し、後に「クォーツショック」と呼ばれる構造的変化の引き金となることが予想されている。精度と量産性を武器にした新方式は、価格や市場構造にも影響を及ぼす見通しだ。
今回の発表は、日本の技術力を世界に示す象徴的な出来事であり、時計産業の主導権が大きく動く転換点として記録されることになりそうだ。精密機械の枠を超え、電子技術を取り込んだ新時代の到来を告げる一日となった。
— RekisyNews 科学面 【1969年】
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