【東京 12月25日】
東京・両国に店を構える菓子舗 米津風月堂 はこの日、西洋菓子の一種であるチョコレートを日本で初めて商品として発売した。商品名は「貯古齢糖(ちょこれいとう)」と名付けられ、当時まだ一般に馴染みの薄かった舶来の甘味を、和菓子屋の手で工夫し世に送り出した点が注目されている。
チョコレートは、欧米では既に嗜好品として広く知られていたが、日本では原料や製法の理解が進んでおらず、輸入品もごく限られていた。米津風月堂では、海外文献や実物を参考にしながら試作を重ね、日本人の口に合う甘味として商品化にこぎつけたと伝えられる。
発売された貯古齢糖は、滋養に富む珍菓として紹介され、文明開化の風潮に関心を寄せる人々の好奇心を大いに刺激した。価格は高価であったものの、「西洋の新味覚」を体験できる品として話題を呼び、菓子文化の新たな潮流を象徴する存在となった。
この出来事は、日本の菓子史において、和菓子中心であった甘味の世界に西洋菓子が本格的に入り込む端緒と位置づけられる。後の洋菓子普及の出発点として、今日まで語り継がれる一日となった。
— RekisyNews 文化面 【1878年】
