【東京 12月20日】
本日、東京日本橋において三越呉服店が創立され、三井との連名により、わが国では新しい商業形態となる「デパートメントストア」宣言が行われた。従来の呉服商の枠を超え、衣料品のみならず、生活に関わる多様な商品を一堂に集め、定価販売と陳列重視の営業を進める方針を明確にした。
同店は、江戸以来の越後屋呉服店の流れを汲みつつ、近代的な経営思想を導入。店内の整備や接客の統一、広告宣伝の活用など、近代消費社会を見据えた商業改革を打ち出した点が注目される。買い手に選択の自由を与える売り場構成は、従来の対面取引中心の商慣行に一石を投じるものだ。
宣言では、都市生活者の需要に応える総合商業施設としての役割を担うことが強調された。開業を機に、日本橋界隈には多くの来客が集まり、街の賑わいは一層高まっている。商業の近代化を象徴する試みとして、今後の流通や消費のあり方に影響を与えると見られる。
— RekisyNews 社会面 【1904年】
