【ロサンゼルス 8月16日】
ロサンゼルスで開催中の北米水上選手権大会は本日、男子1500メートル自由形決勝が行われ、日本の古橋廣之進選手(中京大学)が18分19秒0の世界新記録で優勝した。戦後間もない日本競泳界にとって、国際舞台での快挙となった。
レースは序盤から古橋選手が先頭に立ち、力強いストロークと滑らかなターンで2位以下を引き離した。中間の800メートル通過時点で世界記録を上回るペースを刻み、その後もほとんど落ちないラップを維持。最終盤には会場全体がその泳ぎに注目し、ゴールの瞬間、大きな拍手と歓声が湧き起こった。
古橋選手は先日行われた400メートル自由形でも世界新記録を樹立しており、今大会で二冠達成。会場の米国記者からは「フジヤマのトビウオ」と称賛の声が上がった。本人はレース後、「支えてくれた仲間と指導者に感謝する。泳ぎきれてほっとした」と笑顔で語った。
今回の大会は日本代表としての正式参加ではなく、個人招待選手としての出場だったが、海外の観客や関係者に日本水泳の実力を強く印象づけた。アメリカの競泳関係者は「戦後の困難を乗り越えてこれほどの記録を出すとは驚きだ」と評している。
国内では早くも祝電や報道が相次ぎ、地元・静岡や中京大学では歓迎準備の動きが始まっている。古橋選手の快挙は、競技界のみならず、多くの国民に希望と誇りを与える出来事となった。
— RekisyNews スポーツ面 【1949年】