【サンクトペテルブルク 12月18日】
本日、帝都サンクトペテルブルクのマリインスキー劇場において、作曲家ピョートル・チャイコフスキーによる新作バレエ『くるみ割り人形』が初演された。物語は幻想的な舞台装置とともに展開され、音楽と舞踊の結びつきを重んじる同作曲家の作風が随所に示された。
舞台は祝祭の夜を背景に、少女の夢の世界を描き出す構成で、可憐な旋律や色彩豊かな舞曲が連なった。特に第2幕では、各国の踊りが次々と披露され、軽やかで親しみやすい音楽表現が観客の関心を集めた。一方で、物語性の扱いをめぐっては賛否もあり、初演の受け止めは一様ではない。
チャイコフスキーはこれまでにも舞台音楽で高い評価を得てきたが、本作では子どもを主人公に据えた点が特徴的で、バレエの題材と表現の幅を広げる試みとして注目される。振付と音楽の調和をどう評価するかについて、評論家の議論は続きそうだ。
初演を終えた『くるみ割り人形』は、今後の再演を通じてその真価が問われることになる。幻想と抒情を織り交ぜたこの新作が、ロシア舞台芸術の中でどのような位置を占めるのか、関係者の視線が集まっている。
— RekisyNews 文化面 【1892年】
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