米英、イラクに大規模空爆開始──「砂漠の狐作戦」発動

【ワシントン・ロンドン 12月17日】

イラクの大量破壊兵器をめぐる武装解除問題を受け、アメリカ合衆国とイギリスは本日、共同で対イラク軍事行動「砂漠の狐作戦」を開始した。両国は、イラク政府が国連の武器査察に十分協力していないことを理由に、首都バグダッドを含む複数の軍事関連施設に対する空爆を実施した。

アメリカ国防当局の発表によれば、今回の作戦は、イラクの大量破壊兵器開発能力およびそれを支える軍事インフラを弱体化させることを目的としている。巡航ミサイルや爆撃機が投入され、指揮通信施設、防空システム、兵器関連拠点が集中的に攻撃されたという。作戦は数日間にわたり継続される見通しである。

一方、イラク側は、空爆により民間人にも被害が出ていると強く非難し、米英両国の行動は主権侵害に当たると反発している。バグダッド市内では爆発音が相次ぎ、市民の間に緊張が広がっているとの報告もある。

国連安全保障理事会では、今回の軍事行動をめぐり各国の意見が分かれている。査察の継続を重視する立場からは、武力行使が地域の不安定化を招く恐れがあるとの懸念が示された。一方で、査察妨害を繰り返してきたイラクへの圧力強化はやむを得ないとする声もある。

湾岸戦争終結後も続くイラク問題は、国際社会にとって依然として大きな課題となっている。今回の「砂漠の狐作戦」が、武装解除の進展につながるのか、それとも新たな緊張を生むのか、各国は慎重に事態の推移を見守っている。

— RekisyNews 国際面 【1998年】

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