【東京 12月16日】
逓信省は本日、東京と横浜を結ぶ日本初の電話交換業務を正式に開始した。これにより、これまで電報が中心だった都市間通信に、新たに“声で直接つながる”手段が加わり、国内の通信史は大きな節目を迎えた。
業務は東京・横浜双方に設置された交換局によって運用され、開通初日は多くの官公庁関係者や商人らが試験通話に訪れた。通話には交換手が手動で回線を接続する方式が採られており、呼び出しから接続までの一連の作業が慎重に行われている。関係者は「商取引や行政連絡の迅速化に大きく寄与する」と期待を寄せた。
街では、受話器越しに相手の声が聞こえるという新体験に驚く市民も多く、電話という最新技術への関心が急速に高まっている。逓信省は今後、利用者の増加を見据え、交換網の拡充や加入者の募集を進めていく方針だ。
今回の開業は、日本における近代通信の基盤を築く画期的な出来事として記録されることになりそうだ。
— RekisyNews 科学技術面 【1890年】
