グレン・ミラー搭乗機、英海峡上で消息絶つ──軍は捜索続行も生還望み薄と発表

グレン・ミラー

【ロンドン 12月15日】

アメリカ陸軍航空軍は本日、人気楽団長グレン・ミラー少佐が搭乗していた小型航空機が、ヨーロッパ慰問公演に向かう途中で行方不明になったと発表した。乗員はミラー少佐を含む3名。機体はイギリス南部からフランスへ向けて飛び立ったが、悪天候下で通信が途絶え、その後は目撃情報も確認されていない。

ミラー少佐は、戦地の兵士の士気高揚を目的とした慰問演奏のため、フランス・パリ入りする予定だった。軍関係者によれば、当時イギリス海峡は濃霧と強風に見舞われ、「視界不良による事故の可能性が極めて高い」という。捜索はすでに海峡全域で行われているが、現時点で残骸や救命具などは発見されていない。

スウィング音楽の第一人者として世界的な人気を誇るミラー少佐は、軍服姿で演奏する独自のスタイルと軽快なアレンジで知られ、兵士からも圧倒的な支持を受けていた。訃報が確定したわけではないものの、ロンドン市内では早くも沈痛な空気が漂い、多くのファンが音楽店に集まり代表曲を流して祈りを捧げる姿も見られた。

アメリカ軍は「捜索は継続する」としつつも、現状では生還の可能性はきわめて低いと認めている。正式な死亡認定は今後の調査を経て発表される予定で、軍高官の間では早ければ数日以内との見方もある。

— RekisyNews 国際面 【1944年】

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