【モスクワ/グロズヌイ 12月11日】
本日、ロシア連邦軍が チェチェン共和国への大規模な軍事侵攻 を開始した。エリツィン政権は、ダゲスタン国境地帯を中心に治安悪化が深刻化していると主張し、「憲法秩序の回復」を名目に地上部隊と空軍を投入した。これにより、事実上の 第一次チェチェン紛争 が始まった形となる。
朝方から、チェチェン北部へ向けてロシア軍の装甲車列が移動する様子が確認され、首都グロズヌイ周辺では空爆によるとみられる爆発音が相次いだ。市内の電話回線は不安定となり、住民は防空壕や地下室に避難するなど混乱が広がっている。
チェチェン側を率いるジョハル・ドゥダエフ政権は、1991年のソ連崩壊後に独立を宣言しており、ロシア政府はこれを承認していない。ドゥダエフ氏は本日、緊急声明を発し、「ロシアの侵攻は主権の侵害であり、我々は抵抗する」と述べ、武装勢力に総動員を呼びかけた。
一方モスクワでは、エリツィン大統領が安全保障会議を招集し、「チェチェンの無法状態を放置すれば国家の統一が脅かされる」と強調。強硬姿勢を維持する構えだが、議会内では「武力行使は内戦を招く」と慎重論も根強く、国内世論は割れている。
国境付近にはすでに数万人規模の避難民が発生しており、国際赤十字は「冬季の戦闘は人道危機を招きかねない」と警告。欧米各国もロシアに対し自制を求める声明を相次いで発表した。
独立を求める小国チェチェンと、ロシア連邦の統合を優先する中央政府。両者の対立は妥協点を見いだせないまま、ついに武力衝突という最悪の局面へ突入した。今後の戦局は、地域の安定のみならずロシア政治の行方そのものを左右する可能性がある。
— RekisyNews 国際面 【1994年】
