【ストックホルム/オスロ 12月10日】
本日、ダイナマイトの発明者として知られる アルフレッド・ノーベル の遺言にもとづき、記念すべき 第1回ノーベル賞授賞式 がストックホルムとオスロで挙行された。科学・文学・平和の分野において、世界的な功績を残した人物を顕彰するための国際賞が、ついに歴史の幕を開けた。
ストックホルム王立音楽堂では、ノーベル委員会主催の式典が厳粛に行われ、受賞者の名前が一人ひとり読み上げられるたびに会場からは静かな敬意の拍手が起こった。物理学賞には レントゲン(X線の発見)、化学賞には ファント・ホッフ(化学平衡の理論)、医学賞には ベーリング(ジフテリア血清療法)らが選ばれ、いずれも近代科学の基礎を築いた研究として高く評価された。
文学賞は、フランスの詩人・哲学者 プリュドム が受賞。授賞理由として、ノーベル委員会は「崇高な理想と芸術的完成がともに備わっている」と述べ、近代文学の精神性を象徴する人物であると紹介した。
一方、ノーベルの遺言によりスウェーデンではなくノルウェーが選考と授与を担当する 平和賞 は、オスロでの式典にて、国際仲裁の推進者である デュナン と パシー の共同受賞となった。オスロ市内の式場では、戦争の回避と国家間対話の必要性について語られ、聴衆からは強い共感の声があがった。
式典には各国の学者や外交官が出席し、初めての国際的顕彰制度が始まることへの期待が広がった。専門家は、「ノーベル賞は国境を越え、世界の知性を結びつける新たな仕組みとなるだろう」と語り、20世紀の科学・文化の発展に与える影響の大きさを指摘する。
本日の授賞式をもって、ノーベルの理念である「人類のための貢献を称える精神」が正式に形となった。その歩みはまだ始まったばかりであり、今後この賞がどのような未来を照らすのか注目される。
— RekisyNews 国際面 【1901年】
