RIAA、Napsterを提訴──急成長する“音楽共有サービス”に著作権侵害で大手レコード業界が反撃

【ワシントン 12月7日】

本日、全米の主要レコード会社で構成される アメリカレコード協会(RIAA) は、学生を中心に爆発的に利用者が増えている音楽ファイル共有サービス “Napster(ナップスター)” が著作権を侵害しているとして、連邦地裁に正式提訴した。

音楽データのインターネット共有をめぐる訴訟としては過去最大規模であり、デジタル時代の著作権の行方を左右する重大な争点になるとみられる。

Napster は、利用者同士が直接MP3音楽ファイルを交換できる仕組みを採用し、今年に入ってから大学キャンパスを中心に急速に広がった。サービス自体は無料で、ユーザーのPCに保存されている楽曲をネットワーク上で相互に閲覧・取得できるため、音楽の“共有”という新しい文化を生み出している。

しかし、RIAA は今回の訴状で、

「Napster は海賊版の温床となり、会員同士が著作権保護された楽曲を無断で交換する行為を助長している」

と強く批判。大手レコード会社は売上減少につながる重大な著作権侵害だとして、サービス停止と損害賠償を求めている。

一方、Napster 側は「われわれは単なる技術提供者にすぎず、著作権侵害の責任はユーザー個々にある」と反論し、サービス縮小や閉鎖には応じない姿勢を見せている。創業者ショーン・ファニング氏は記者団に対し、「Napster は音楽の楽しみ方を拡張するもので、アーティストの敵ではない」と述べた。

学生を中心とした若いユーザーからは「音楽へのアクセスが広がった」「新しい曲を知るきっかけになる」と評価する声が多い一方、レコード店や音楽業界の関係者からは「このままでは商業的基盤が崩れる」と危機感が高まっている。

今回の訴訟は、デジタル技術が伝統的な音楽産業にもたらす衝撃を象徴する出来事であり、インターネット時代における“著作権のあり方”を問う重大な局面となった。

今後の裁判の行方は、音楽配信ビジネス全体に大きな影響を与えることは避けられない。

— RekisyNews 経済面 【1999年】

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