池田蔵相、“麦発言”で国会騒然──米価問題めぐり波紋、野党は猛反発し紛糾

池田勇人

【東京 12月7日】

本日の衆議院本会議で、政府の米価政策をめぐる質疑の最中、池田勇人蔵相 が「貧乏人は麦を食えばよい」と受け取られる発言を行ったことから、議場は一時騒然となり、野党議員が一斉に抗議の声を上げる事態となった。

発言は庶民の生活に直結する食糧問題だけに、その衝撃は大きく、論争は国会内外に急速に広がっている。

問題の発言は、物価上昇と食糧不足を背景に、米価引き上げの是非が問われる場面で出たもの。野党議員が「米が高騰すれば生活困窮者はどうすべきか」と問うたのに対し、池田蔵相は「所得に応じて、麦を主食とすることも考えればよい」と答弁した。

しかしその表現が、庶民の苦境に対する無理解 と捉えられる形となり、即座に議場から「国民を侮辱するのか」「生活の実際を知らぬ暴言だ」といった怒号が飛び交った。

池田蔵相はその後「誤解を招いたのであれば遺憾」と釈明したが、波紋は収まらず、野党は蔵相辞任も視野に徹底追及する構えだ。議場外では記者団が取り囲み、蔵相は「米の消費を抑え、麦をもっと利用する必要性を述べただけで、国民を侮辱する意図はない」と説明した。

一方、庶民の間では発言への不満が広がっている。都内の市場を訪れた主婦は「麦を食べざるを得ない生活がどれほど大変か、わかっていない」と語り、労働者からも「配給も値上がりも苦しく、生活は限界だ」との声が上がった。米の不足と価格上昇は依然として国民生活を圧迫しており、政府の姿勢への批判は高まりつつある。

政府内部でも食糧問題の深刻さは認識されており、農林省は近く追加対策の検討に入るとみられる。しかし、今回の発言が国民感情に与えた影響は大きく、食糧政策への不信と政治不信がさらに強まる恐れが指摘されている。

今日の“麦発言”騒動は、戦後の物価高と食糧難に揺れる社会の不安を象徴する出来事となり、今後の国会運営にも影響を及ぼすことは避けられない。

— RekisyNews 政治面 【1950年】

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