【エディンバラ 12月6日】
本日、スコットランドのエディンバラにて、三巻構成の大規模参考書 『ブリタニカ百科事典(Encyclopaedia Britannica)』第1版 の刊行が始まった。
科学・医学・技術・歴史など幅広い分野を網羅した同書は、世界で初めて体系的に編集された総合百科事典として高く評価され、欧州の学術界に新たな指標を打ち立てるものとなった。
編集を主導したウィリアム・スメリ博士は、各分野の最新知識を整理し、一冊にまとめるという大胆な構想を打ち出した。刊行前から学者や出版関係者の注目を集めており、エディンバラ市内では発売前から予約希望者が増加。書店前に列を作る読者の姿も見られ、「知の大書」として大きな話題を呼んでいた。
第1巻が開かれると、冒頭には地球科学や天文学に関する詳細な論考が並び、続けて数学・医学・工学などの項目が続く。その内容は平易な説明を重視しつつ、専門家にも耐える正確さを備えており、読者からは「学びの手引書として画期的」との声が上がった。
とりわけ “図版を豊富に用いて一般読者にも理解しやすくした構成” は従来の学術書には見られない工夫であり、教育界からも期待が寄せられている。
印刷所の関係者は「本書は単なる辞典ではなく、“人々の知識を広げるための公共の財産” だ」と胸を張る。エディンバラ大学の若い研究者は、「学問を特権階級のものから広く社会へ開く第一歩」と語り、啓蒙思想の高まりを象徴する出来事と捉えている。
今後、残る2巻も順次刊行される予定で、各地の学校や学会から早くも購入希望が寄せられている。
今日の刊行は、欧州における知識の体系化と共有の文化が新たな段階へ進んだことを示す歴史的瞬間といえる。
— RekisyNews 文化面 【1768年】
