東京地裁、コンピュータ・プログラムを“著作物”と初判断──急成長する情報産業に大きな節目

【東京 12月6日】

本日、東京地方裁判所は、コンピュータ・プログラムが著作権法上の「著作物」に該当するとの判断を示した。国内裁判所としては初の判断であり、急速に拡大する情報処理産業に大きな影響を与える画期的決定となった。

本件は、あるソフトウェア開発会社が自社のプログラムを模倣されたとして、別の企業を相手取り著作権侵害を訴えた民事訴訟。争点は、「プログラムという無形の命令列が、著作物として法律上保護され得るのか」という点にあった。

裁判長は判決で、「プログラムは、作成者の創作性が具体的に表れた表現であり、著作権法の保護対象として妥当である」と述べ、プログラムが“思想または感情の創作的表現”に該当すると認定した。

これにより、ソフトの複製や改変を無断で行う行為は、著作権侵害として法的制裁の対象となる道が開かれたことになる。

判決後、原告側の代理人は「ようやくソフトウェアの価値が社会的に認められた。業界全体にとって大きな前進だ」と語り、被告側は「判決内容を精査し、今後の対応を検討したい」とコメントした。

情報産業が急成長する中、開発者からは「模倣されても法的に守られない」という不安の声が以前から挙がっていた。今回の判断により、ソフトウェア開発への投資意欲が高まるとの期待が強い。一方で、どこまでが創作的表現と認められるか、どこからが単なる機能や仕様なのかという境界線は依然として曖昧で、今後の司法判断が注目される。

業界関係者は「今日の判決は、情報化社会へ向けた法律整備の重要な一歩」と評価しており、将来的な立法・判例形成にも影響する可能性が高い。

本日の判断は、日本の著作権法が“ソフトウェアの時代”に対応し始めた象徴的な瞬間である。

情報化が進む中、法制度がどこまで技術革新に追いつけるかが問われることになりそうだ。

— RekisyNews 社会面 【1982年】

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