【ヘルシンキ 12月6日】
本日、フィンランド議会はロシアからの 独立宣言 を正式に可決し、長年続いたロシア帝国支配からの離脱を国内外に表明した。ペトログラード(旧ペテルブルク)ではロシア革命後の混乱が続いており、その権力空白を背景に、フィンランドは国家としての自立に大きく踏み出した。
議会は朝から緊張に包まれ、各党代表が独立の必要性をめぐって熱心に議論。正午過ぎ、ついに多数の賛成をもって独立宣言が採択された。
議場にいた議員の一人は「これでフィンランドは、自らの運命を自らの手に取り戻した」と述べ、別の議員は「ロシアの動乱に道を委ねるわけにはいかない。独立は必然だった」と語った。
フィンランドは1809年以来、ロシア帝国の自治大公国として統治されてきた。しかし、今年の二月革命と十月革命によってロシア中央政府の統治力は急激に弱まり、国内では食糧不足や労働争議が相次いで発生。独立機運は急速に高まっていた。
独立宣言を受け、首都ヘルシンキでは市民が街頭に集まり、小規模ながら旗を掲げて喜びを分かち合う姿が見られた。ある青年は「幼い頃から聞かされてきた独立の夢がようやく現実になる」と笑顔を見せ、老婦人は「不安もあるが、この国の未来を信じたい」と静かに語った。
一方で、国内には社会主義勢力と保守勢力の対立が深まっており、政治的緊張は依然として高いままだ。議会関係者は「独立は始まりにすぎず、国家建設の道は険しい」と警戒を示す。ロシア側がどのような反応を示すのかも不透明で、国際承認の獲得も今後の課題となる。
それでも、議会前に集まった市民たちは、冷たい冬空の下で互いに肩を抱き合いながら、独立宣言という歴史的瞬間をかみしめていた。
今日、フィンランドはついに“自らの国”として歩み始めた。
この新たな国家がどのような未来を築いていくのか、世界が注目している。
— RekisyNews 国際面 【1917年】
