【平壌近郊 12月5日】
本日、朝鮮戦線において 中国人民志願軍と北朝鮮軍が平壌を奪回した と伝えられた。わずか数週間前まで国連軍が支配していた同市は急速な戦況転換により北側の手に戻り、朝鮮戦争全体の流れは再び大きく揺れ動いている。
平壌周辺では先月末から中国義勇軍が大規模な反撃を開始。厳しい寒気のなか、山岳地帯を巧みに利用した包囲・夜襲戦術が展開され、国連軍は各地で孤立と後退を余儀なくされた。現地からの報告によれば、国連軍の車両は凍りついた道路上での移動に苦しみ、補給線は長く伸びきっていたという。
奪回の知らせは正午頃にもたらされ、中国義勇軍の一部部隊が市内中心部に進入したとされる。北朝鮮軍もこれに続き、官庁街や駅周辺を掌握した。街路には破壊された車両や焼け落ちた建物が並び、住民の姿はほとんど見られない。
前線を離脱した国連軍兵士は「中国軍の数が予想以上だった。夜になると四方から銃声が迫り、どこに敵がいるのか分からなかった」と語り、疲労の色を隠せなかった。
国連軍は現在、38度線方向へ後退しつつ態勢の立て直しを図っているが、厳冬と補給不足が重なり苦しい状況にある。ある将校は「兵士の体力が限界に近い。防寒具の不足も深刻だ」と述べ、今回の失地が即時反撃を困難にしている現状を示唆した。
一方、中国義勇軍側は本日の勝利を「侵略軍に対する重大な勝利」と発表し、北朝鮮の指導部も「祖国の中心都市を取り戻した」と声明を出した。
ただし、戦線は依然として流動的であり、各国は戦局の今後の推移を注視している。
今日の平壌奪回は、朝鮮戦争の勢力バランスを一気に北側へ傾ける象徴的な出来事であり、冬季戦の激しさを強く印象づける結果となった。
— RekisyNews 国際面 【1950年】
