【ロンドン 12月5日】
本日、英国政府は フィンランドおよびルーマニアに対し正式に宣戦布告 したと発表した。両国が独逸側として東部戦線に加わり、ソ連へ協力して攻撃を続けていることを理由としたもので、欧州の戦局は一段と拡大と緊張を強めている。
午後、ロンドンの下院ではチャーチル首相が登壇し、両国が「独逸の侵略戦争に加担し、連合諸国の安全を脅かしている」と強く非難。これを受け、下院は宣戦布告の手続きを即時承認した。
声明発表後、外務省からは各国への電文が発せられ、国際社会に英国の立場を説明する動きが進められた。
今回の措置の背景には、独逸軍がソ連領内で攻勢を続ける中、北方ではフィンランド軍がドイツと協調しつつレニングラード方面へ圧力を加え、南方ではルーマニア軍が黒海沿岸で独逸軍を支援している現状がある。特にルーマニアは油田地帯を提供するなど、独逸軍の兵站を大きく支えている。
ロンドン市内では、ラジオ放送で宣戦布告が伝えられると、市民からは「戦争がさらに広がるのか」との不安の声が上がった一方で、ある労働者は「独逸に協力する国を放置できない。やむを得ない決断だ」と語った。
新聞号外を手にした若い婦人は「夫が北海方面に従軍している。どうか無事でいてほしい」と涙ぐんだ。
軍関係者は、今回の宣戦布告が直ちに大規模戦闘につながるとは見ていないが、「北欧・東欧方面の連絡監視や海上封鎖は強化される」との見方を示す。特にルーマニアの黒海沿岸は、独逸補給線の要衝とされ、連合国による制圧の可能性も取り沙汰されている。
連合国対枢軸国の構図がさらに明確となった今日、欧州戦線はますます複雑な様相を呈している。
冬季の到来が戦局にどのような影響を与えるのか、各国は緊張をもって見守っている。
— RekisyNews 国際面 【1941年】
