【バグダッド 12月5日】
本日、湾岸危機下のイラク国内で拘束されていた 日本人の民間人らが、アントニオ猪木参議院議員による直接交渉ののち、無事解放された。
緊張が続く中での朗報に、日本政府関係者や家族から安堵の声が広がっている。
今回の解放は、イラクが湾岸情勢を理由に外国人を“滞在制限”として事実上の人質にしていた問題に関連するもの。猪木議員は自ら現地入りし、政府高官との複数回の協議を敢行。文化交流やスポーツ外交の経験を活かし、「人道的立場から解放を強く求める」と粘り強く訴えた。
交渉の末、イラク側は数十名規模の日本人の出国を許可。
本日午後、解放された日本人らは政府関係者に付き添われ、バグダッド国際空港から専用機で出国。到着地では家族が涙ながらに迎え、ある男性は「名前を呼ばれた瞬間、信じられなかった。日本に帰れることが夢のようだ」と語った。
現地入りした猪木議員は、「国と国の緊張が続いていても、人の命に国境はない。対話を続ければ必ず道は開ける」と力強く述べた。彼の一行には、医療関係者や支援スタッフも同行し、解放者の健康状態の確認にあたった。
一方で、外務省は今回の独自交渉について「結果として邦人が無事帰国できたことは喜ばしい」としつつも、政府以外の直接外交の危険性を指摘する声も上がっている。国際政治の緊張が極めて高い情勢の中での、異例の“個人による外交”であったことは間違いない。
しかし、解放された日本人の家族らは「助けてくれた全ての人に感謝したい」と口々に述べ、到着ロビーは安堵と涙に包まれた。
今回の解放劇は、戦争の影が色濃い中東情勢の中で、“対話の力”が命を救った象徴的な出来事として記憶されるだろう。
— RekisyNews 国際面 【1990年】
