日本初、子供を乗せた“滑空飛行”に成功──相原四郎大尉と仏海軍ル・プリウール中尉が共同製作のグライダーで快挙

【香川・坂出 12月5日】

本日、香川県坂出の海岸にて、日本で初めてグライダーによる飛行が成功した。しかも搭乗したのは地元の少年であり、子供を乗せた滑空飛行としても極めて異例の試みとなった。大日本帝国海軍の 相原四郎大尉 と、フランス海軍の ル・プリウール中尉 が共同で製作したグライダーによる実験で、日本の航空史に新たな一頁が刻まれた。

早朝から海岸には軍関係者、町の人々、好奇心旺盛な子供たちが集まり、木製の巨大な滑空機が砂浜に姿を現すと歓声が上がった。帆布を張った主翼は大人数人が抱えるほど長く、形状は欧州で試みられている近代的なグライダーに近い。

曳航は人力で行われ、数十名の若い水兵や地元の青年が綱を握り、掛け声とともに一斉に走り出した。

やがて機体がふわりと砂浜を離れると、見守る群衆はどよめきに包まれた。少年は恐れる様子もなく、機体は十数秒ながらも明確に高度を保ちながら滑空し、予定地点に無事着地。ある見物人は「空を飛ぶというのはこういうことか」と息を呑み、子供たちは「自分も乗ってみたい」と目を輝かせた。

相原大尉は「日本でも必ず飛行機の時代が来る。今日の成功は第一歩にすぎない」と語り、ル・プリウール中尉も「海軍の協力に感謝する。日仏両国の友好の証でもある」と満足げな表情を見せた。現場では軍楽隊が応援演奏を行い、町の有志が炊き出しを用意するなど、まるで祭りのような賑わいとなった。

一方、今回の成功は欧州で急速に進む航空研究を強く意識したものとされ、海軍関係者の間では「飛行機の導入は国防上も急務」との声が高まっている。今後は更なる改良機を製作し、持続的な飛行距離の延伸と安全性向上を目指すという。

今日の滑空成功は、日本の空への挑戦が本格的に始まったことを示す象徴的な瞬間となった。

相原大尉とル・プリウール中尉の協力が、日本の航空技術発展を大きく後押しすることになりそうだ。

— RekisyNews 科学面 【1909年】

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