【横浜 8月15日】
米国で菓子製造を学んだ森永太一郎氏が、本日横浜・山手町に「森永西洋菓子製造所」を開業した。バターやミルクをふんだんに使ったキャンディーやビスケットを製造し、洋菓子の国産化と全国普及を目指す。
森永氏は長崎県出身。若くして渡米し、サンフランシスコの菓子店で製法を習得した。帰国後、日本での西洋菓子需要の高まりを背景に、横浜港近くに工場兼店舗を構えた。店内には最新の製菓機械を備え、原料には輸入砂糖や国内乳製品を使用。清潔な作業場と均一な品質を売りにしている。
初日の店頭には、外国人居留者や地元市民が集まり、色鮮やかな包み紙や香ばしい香りに足を止めた。試食した来店客は「舌にやさしく、香りが豊か」と感想を述べ、特に子どもたちが目を輝かせていた。
森永氏は開業にあたり「日本人の口に合う洋菓子を作り、誰もが手にできる価格で届けたい」と語った。これまで高価だった輸入洋菓子を、国内で大量生産することで価格を抑え、普及を図る構えだ。
製造所ではキャンディーやキャラメルのほか、バターケーキや焼き菓子も試作中。今後は東京や大阪への販路拡大を計画しており、洋菓子文化の浸透に大きな役割を果たすことが期待される。
港町から立ち上がった小さな製造所は、やがて全国に甘い香りを広げるかもしれない。
— RekisyNews 経済・社会面 【1899年】
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