【東京 12月3日】
本日、日本電信電話株式会社(NTT)は、通話料金を着信側が負担する新サービス「フリーダイヤル」の提供を正式に開始した。利用者が料金を支払わずに電話をかけられる制度は国内初であり、企業の問い合わせ窓口や相談サービスの在り方を大きく変える取り組みとして注目されている。
今回導入されたフリーダイヤルでは、企業や団体が専用の番号を取得し、そこに寄せられた電話の通信料を着信側が負担する仕組みとなる。これにより、利用者は全国どこからでも無料で連絡でき、企業側は利用者からの問い合わせを受けやすくなるメリットがある。NTTの担当者は「より開かれたコミュニケーションを実現するサービス。業務の効率化にも貢献する」と語った。
開始初日の今日、すでに複数の企業が導入を表明している。大手通販会社では「利用者が気軽に問い合わせできるようになる」と期待を寄せ、保険会社や家電メーカーなどでも導入準備が進んでいる。都内のオフィスで働く女性は「料金を気にせず問い合わせできるのは安心。買い物や契約の相談がしやすくなる」と新サービスを歓迎した。
一方で、企業側の負担増を懸念する声もある。ある中小企業経営者は「問い合わせが増えるのは嬉しいが、通話料金がどれほどになるか読みにくい」と慎重な見方を示した。NTTは「利用動向に応じた料金プランを順次案内する」と説明し、企業の負担軽減に努める姿勢を見せている。
専門家は、今回のサービスについて「電話を使った顧客サービスの在り方が大きく変わる転機」「企業間競争における“窓口の親しみやすさ”がより重要になる」と指摘。フリーダイヤルの普及によって、市民と企業の距離はさらに縮まると見られている。
本日の開始をもって、日本の通信サービスは新たな段階へと踏み出した。“無料でかけられる番号” が今後どのように広がるか、社会の関心が集まっている。
— RekisyNews 経済面 【1985年】
