【東京 12月3日】
本日夕方、フジテレビ系列にて新作テレビアニメ 『マジンガーZ』 の放送が始まり、日本のアニメ史に新たな一歩が刻まれた。巨大ロボットを主人公とした前例の少ない作品であり、放送前から「これまでにないスケール」「新しいヒーロー像だ」と期待が高まっていたが、初回放送はその噂を裏付ける迫力で視聴者を圧倒した。
作品は、悪の科学者ドクターヘルの脅威に立ち向かうため、兜甲児が巨大ロボット マジンガーZ を操縦し戦うという物語。特に、鉄の塊がうなりを上げて立ち上がるシーンや、甲児が叫ぶ「マジンゴー!」の掛け声は、視聴者の胸を高鳴らせた。アニメ誌関係者は「日本のロボットアニメに新しい時代が来た」と興奮気味に語った。
放送中、街の電器店や銭湯のテレビには子どもたちが集まり、巨大なロボットが腕を振り下ろすたびに歓声が上がった。「こんなの見たことない!」「本当に動いているみたいだ」という声も多く、初回放送直後から話題が一気に広まっている。
制作を担当した東映動画(現・東映アニメーション)は、「ロボットそのものを主人公にする」という新しい試みを掲げ、作画やメカニック表現に大きな挑戦を重ねてきた。関係者は「機械の重さをどう見せるか苦労したが、今日ようやく世に出せた」と胸をなで下ろした様子だった。
一方、保護者の中からは「戦闘シーンが激しいのでは」と懸念の声もあるが、制作側は「正義と勇気を描いた作品」と説明し、視聴者に理解を求めている。放送後、近所の駄菓子屋では早くも子どもがロボット玩具の話をする姿が見られ、キャラクター商品の人気も高まりそうだ。
“空を飛び、悪を砕く鉄の巨人” は、今後の放送を重ねるごとにさらに人気を広げるとみられる。昭和のテレビアニメが新しい段階へ進む本日、巨大ロボットの時代が幕を開けた。
— RekisyNews 文化面 【1972年】
