【鹿児島湾 8月15日】
本日正午過ぎ、鹿児島湾に停泊していたイギリス艦隊が薩摩藩領・鹿児島市街を砲撃し、各所で火災と被害が発生した。薩摩側も沿岸砲台から応戦し、両者は交戦状態に入った。
事の発端は、昨年発生した英国商人殺傷事件に対する賠償金と犯人引き渡しをめぐる交渉決裂にある。英国側は交渉のため艦隊を派遣したが、薩摩側が条件を拒否したため緊張が高まり、ついに砲火が交わされた。
午後1時頃、英艦から市街地や港湾施設に向けて砲弾が発射され、建物や商家が炎上。市民は家財を抱えて避難し、寺社や倉庫にも延焼が及んだ。薩摩側は城下南方と桜島の砲台から反撃し、命中弾を与えたとみられるが、英艦の装甲は厚く、戦況は依然不利とされる。
目撃した漁師は「海から火柱が上がり、耳をつんざく音が響いた。港は煙で覆われた」と語った。薩摩藩士の一人は「領民を守るため徹底抗戦する」と述べ、藩主島津家久も防衛体制の強化を命じた。
英艦隊は優れた航行力を活かして湾内を移動しつつ攻撃を続け、夕刻には一部が沖合へ退いた。交渉再開の兆しはなく、戦闘は断続的に続く恐れがある。
今回の衝突は、列強との関係悪化と通商問題に直結しており、国内外に重大な影響を及ぼす可能性が高い。鹿児島の空を覆った黒煙は、時代の変わり目を象徴する光景となった。
— RekisyNews 国際・国内面 【1573年】