若きシューベルト、ゲーテ詩による新作歌曲を完成──「羊飼いの嘆きの歌」ウィーンで静かな評判

【ウィーン 11月30日】

本日、ウィーン在住の青年作曲家フランツ・シューベルト(17)が、新たな歌曲「羊飼いの嘆きの歌」を作曲したことが関係者への取材で明らかとなった。詩は文壇の巨匠ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテによるもので、山上に立つ羊飼いの孤独と失意を描いた短い詩情が、若き作曲家の手で端正な旋律へと姿を変えた。

同曲は、友人たちの集まりの席で早くも披露され、出席者のあいだで話題となっている。演奏は簡素なピアノ伴奏と独唱によるが、言葉の抑揚に忠実な旋律が、詩の情景と心情をまるで一枚の絵のように浮かび上がらせるという。聴いた者の一人は「少年の作とは思えぬほど、胸の奥に沈む寂しさがそのまま音になっていた」と語り、深い印象を受けた様子であった。

曲は静かな歩みで始まり、谷を見下ろす羊飼いの姿を思わせる穏やかな線が続く。途中には切なさを帯びた転調が織り込まれ、失われたものへの痛切な思いと、なお消えぬ憧れが交錯する。終結部は過度な劇性に走らず、冷えた空気の中でふっと息が消えるように閉じられる構えで、詩の余韻を一層際立たせている。

シューベルトは近ごろ、ゲーテの詩に次々と曲をつけ、歌と言葉を結び合わせる新たな表現を模索しているといわれる。周囲の教師や音楽仲間の間では、彼の才能に注目が集まりつつあり、将来、より大きな場での発表がなされるのではないかとの期待も聞かれる。

ウィーンでは冬の音楽会の準備が進み、家庭サロンでも歌曲が盛んに歌われている。そうした空気の中で生まれた「羊飼いの嘆きの歌」は、若い作曲家が描く繊細な心の風景として、静かな評判を呼び、今後の創作の行方を占う一作となりそうだ。

— RekisyNews 文化面 【1814年】

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