【フロリダ州ケープ・ケネディ 11月28日】
本日、アメリカ航空宇宙局(NASA)は、火星探査機「マリナー4号(Mariner 4)」の打ち上げに成功したと発表した。これは、人類史上初となる火星への近接飛行探査を目指す計画であり、宇宙開発の新たな章が開かれた形となる。
打ち上げは現地時間の午前9時22分、アトラス・エイジェナDロケットによってケープ・ケネディ空軍基地から行われ、探査機は予定通り軌道を離脱し、火星へ向けた約7か月間の飛行を開始した。NASAの技術者によると、打ち上げ後の軌道投入は精度良く行われ、通信状態も良好であるという。
「マリナー4号」は全長約2.9メートル、重量260キログラムで、12台の科学観測機器とカメラを搭載。1965年7月頃に火星へ最接近し、その際に火星表面の画像撮影や、磁場・大気組成の測定を行う計画が進められている。
これまでの宇宙探査では、金星への接近探査には成功していたが、火星はより遠く過酷な目標とされており、今回の試みはアメリカ宇宙開発史上でもきわめて意義深い挑戦といえる。
ソ連も火星探査を進めている中、今回の打ち上げ成功は宇宙開発競争の中でアメリカにとって重要な成果であり、火星という未知の世界に迫る科学的意義は計り知れない。
世界の関心が「赤い惑星」に集まる中、マリナー4号がもたらす画像とデータは、火星探査と将来の有人探査計画の礎となることが期待されている。
— RekisyNews 科学技術面 【1964年】
