【ワシントンD.C. 11月26日】
本日、アメリカのコーデル・ハル国務長官が日本代表団に対し、外交交渉の条件を列記した文書、いわゆる「ハル・ノート」を正式に提示した。これは現在進行中の日米交渉におけるアメリカ側の最終的な提案であり、極めて重大な外交局面を迎えた形となっている。
この文書では、日本に対して中国や仏領インドシナからの全面撤兵、三国同盟の実質的な破棄、通商の自由化などを求めており、実質的に従来の日本の対外政策を全面的に転換するよう要求している。一方で、アメリカは日本との貿易再開や外交関係の改善を条件付きで約束している。
日本からは、駐米特命全権大使の野村吉三郎氏と特使の来栖三郎氏が交渉にあたっており、両氏はこの文書の内容に「到底受け入れがたい」との反応を示した模様で、東京の本国政府への緊急報告が行われたという。
現在、太平洋地域では緊張が続いており、日本軍は依然として中国大陸および仏印北部に展開中である。アメリカ側はこれらの軍事行動を「侵略的」と断じ、強硬な立場をとってきた。ハル国務長官は記者団に対し、「これは戦争回避に向けた最後の努力である」と語っており、今後の日本政府の対応が東アジア情勢を大きく左右することは確実である。
一方、日本国内では陸海軍首脳を中心に開戦を辞さぬ構えも見え始めており、外交交渉の行方が極めて緊迫している。
— RekisyNews 国際面 【1941年】
