アキノ元上院議員に死刑判決──マルコス政権下の軍事法廷、国際社会からの反応も注目

【マニラ 11月25日】

本日、フィリピンの軍事法廷は、元上院議員ベニグノ・アキノ・ジュニア氏(45)に対し、反逆罪などの容疑で死刑判決を言い渡した。アキノ氏はマルコス政権に対する最大野党の指導者として知られており、1972年の戒厳令施行以降、政治犯として長らく収監されてきた人物である。今回の判決は、国内外で大きな波紋を呼んでいる。

裁判は秘密裏に進められ、公開の法廷ではなく、軍事裁判所による審理であった。アキノ氏はかねてより、政府による弾圧と不当な拘束を訴えてきたが、その主張が審理に十分に反映されたかどうかについては疑問の声も上がっている。

アキノ氏は、1960年代から政界で頭角を現し、マルコス大統領の対抗馬として国民的な支持を集めていた。戒厳令の発令後、国家転覆を企てたとされ逮捕され、以後は軍施設に拘束。判決に先立つ声明では、「真の正義と民主主義を信じる限り、私は決して屈しない」と述べていた。

フィリピン国内では、アキノ氏支持者による抗議の動きも起きており、今後の政情に与える影響が懸念される。一方、アメリカをはじめとする西側諸国の政府・人権団体からは、「公正な裁判を欠いた政治的弾圧」との非難が相次いでおり、国際的な圧力が高まる可能性もある。

マルコス政権は、死刑執行の時期について明言しておらず、状況次第では国外への政治亡命や恩赦の可能性も取り沙汰されている。

— RekisyNews 国際面 【1977年】

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